HOMEEssay手術費

手術費

体を望みの性に近づけるための手術費。
子供の頃、漠然と「何千万かかるのかなぁ」と思っていた。
詳細とまではいかないまでも、おおよその値段を知ったとき「え?そんなもん?」と思った。
決して安い金額とは思わないけれど、都心に一戸建ての家を買うことを思えば現実的な値段。
「がんばって働いて貯金すれば、なんとかなる。費用がどーのこーのと不満を言う前にとにかく働いて、近づいていけばいい。」
そう思えると少し気持ちがラクになった。

僕は実家を離れて暮らしている。
安月給の中で生活費を工面し、まとまった額の貯金もしていくとなると正直大変だ。
毎日の収支表をつけ、無駄遣いを減らしていく。
外食の機会を減らして自炊するようにした。
もちろん買い物をガマンすることだってある。
でも、目標があるからやっていける。

僕はおそらく海外で手術を受けることにする。
現在の仕事が半日休とはいえ、休むことを良しとしないからだ。
手術となったらまとまった日数を休むことになるので、退職を考えなければいけないことも
分かっている。
仕事と費用のこともあり、明日や来月にでもすぐに手術!というわけにはいかない。
完全に手術を終えるのは、何年も先になるかもしれない。
それはそれで仕方ないと思っている。
自分にとって、良い方に変わるのか悪い方に変わるのか分からないけれど、
なんらかの変化があるかもしれない。
技術の改良や費用の変更、そして戸籍変更条件の見直しなど。

年齢的に考えて、正直焦りもあるし不安もある。
でも僕以上に今現在をつらく思いながら暮らしている人もいると思う。
そういう人のことを思うと、僕は大っぴらになんでも話そうという気にはなれない。
自分にとっての喜びが他人の喜びに必ずしもなり得ないことを、僕自身が分かっているからだ。
目標の手術費を稼ぐことが出来ても、僕は日記にもそのことは書かない。
手術の日取りが決まっても、最低限の人達にしかそのことを伝えないつもりでいる。

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